災害復興は最終的には自分たちの手でやらなきゃね

 地図はすでに存在しているものを紙の上に書き表したものであり、過去から連綿と続いてきた変化の、現在における断面を写し取ったものと言えるだろう。じゃあ、地図作成は後ろ向きな作業かというと、そうとばかりも言えない。なぜなら、いまを知ろうとするのは、いまはないものを作り出す余地を見出すためでもあるのだから。
 再び地図作成を命じられ、侍女のサラと傭兵のダールだけを連れて出発したリーナ。今回も何やら騒動に巻き込まれ、何となく通じ合っていたと思っていたダールとも、立場や目的の相違などもあって、気持ちの行き違いが発生してしまう。そして、不思議な力を持つ存在たちの登場。
 一言で言うと、変な王女による公共事業の物語です。あと、著者はメイドさんとか侍女さんとかにこだわりがあるみたいですよね。

 公共事業で思ったのだけれど、過去に公共事業が有効だったのは、国家が専売事業を持っていたからでは?金山や塩田を支配していればそこからぼろ儲け出来るし、公共事業はその利益分配という見方もできる。だから、リーナがいるような世界では意味を持つ。
 でも、国家の収入減が税金だけの世界ではどうだろう?公共事業の費用はすべて、現在か将来の国民の負担になるだけなのでは?物語とは何の関係もないけれど、ふとそんなことを思った。

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川口士作品の書評