2009-01-01から1年間の記事一覧

カタチのある魂、カタチを失った魂

イズミ・カーティスたちの参戦により、中央司令部完全制圧に向けて優位に立ったかに見えたブリッグス軍だが、たった一人の登場により、その戦況は一変する。一方、マスタング大佐たちの前にも一人の人間が現れ…。 権力の表の顔と裏の顔、両面の制圧に戦力は…

おまけ制作秘話が満載

中学校の部活でゲームを作る、という基本線があるはずなのだけれど、なかなかその通りには物語が進まない。おおよそ、荒垣部長が適当に方針だけを決めて丸投げし、ニシンがそれを拒否するか欲望丸出しで暴走するかして、それを元に引き戻そうと姫野がオロオ…

兄弟の思惑

正守が夢路との会合に臨んでいる間に、烏森が襲撃を受ける。周辺の街を人質に取ったやり方に、また、自らの迷いのために、ただ黙って見ているしかできない良守たち。しかし、その均衡を崩すように、氷浦が敵に攻撃を仕掛ける。二対一の戦いに勝機はあるのか…

優先順位の問題

進学校の生徒会執行部副会長である木曽は気は弱いが好奇心旺盛。そして今日も生徒会の雑務をこなしつつ、女帝と呼ばれる会長の丹野さんの気まぐれにまで対応している。 そんな彼が街でからまれていたところを助けに入ってきたのが同級生の勝村。二年になって…

巫女の孤独

護士候補生として天結宮に再入宮したシェルティスだが、彼がいない三年の間に護士の昇格制度も大きく変わっていた。突出した技量を持つ戦士の育成ではなく、集団戦力としての増強を重視する。ゆえに護士候補生は三人以上で部隊を作り、その評価により昇格す…

生きるために書くということ

作者のハードカバー作品は、しばらく寝かせておいてから、気力の充溢した時に読むのを通例としている。だからこの作品は、ボクの書架で一年くらい眠っていたことになる。そしてついに読んだ。第一部を読むのが辛くて、でもこれがあるからこそ第二部がとても…

敗走からの転進

百歩必中の金票(ひょう)を手に天下取りを口にする若者、廉把。口先で兵士を丸め込み仲間として敵将を討ち取るべく行動するが、その怪物じみた力の前に屈し、仲間をすべて死なせてしまう。 それから8年後、廉把は、撞木を持ち歩き虚空に見えない鐘を撞くの…

開戦

あとがきは無いので後ろから見ない方が良いという作者のコメントがついています。 聖泉まであとわずかというところで、イスラは言い伝えにある空の一族と遭遇する。 木造の旧式戦闘機を見て侮ったイスラ空挺騎士団団長レオポルド・メルセは、イスラにわずか…

レーンのない回転寿司

本をジャンル分けする理由なんて、司書さんが図書館で並べる順番に迷わない程度の意味しかないと思うけれど、この作品をジャンル分けするのはとても難しい気がする。 自主制作映画をつくる人たちの青春ものみたいな体裁を整えているけれど、ミステリーの様で…

燦々と照り注ぐ太陽の光、はじける果汁

高校生たちが祖父の遺志を継いで新品種の夏みかんを開発する。これを全国に広めるため、通販番組を活用するのだけれど、生産者の想いとバイヤーの想いが上手くかみ合わず、番組は大失敗に終わる。 収穫時期を目前に控える、売り先の当てもない夏みかん。全く…

死してなお残る想いのそれぞれ

「陰陽ノ京」のスピンオフ作品なので、慶滋保胤は最後の方でチラリと顔を見せる程度、伯家時継にいたっては名前が挙がるくらいのもの。本作の主人公は、保胤と同年の甥である賀茂光栄、そして陰陽生の住吉兼良である。 安倍吉平が佐伯貴年と夜釣りに行った帰…

演劇で真剣に生きる

借金300万円を抱え解散の危機を迎える小劇団「シアターフラッグ」。劇団を主宰する春川巧は、子供の頃からずっと世話になりっぱなしの兄である、春川司に借金を頼みに行く。司が出した借金の条件は、二年間のうちに劇団の収益のみで借金を返済すること。 声…

二重三重に煙に巻く

新創刊されたメディアワークス文庫。”電撃文庫で育った大人たちに贈る”という、ある意味あいまいなコピーに、うまいこと合わせて来たなあという感じがする。さすがに器用ですね。 だからと言うべきか、「神様のメモ帳」「さよならピアノソナタ」の様に、ちょ…

推理小説という入れ物に固執した、何か別の小説

タイトルを2つの部分に分けると、"探偵"よりも"難民"の方に若干重きが置かれている。あえてスイリ小説という枠を意識しなければならない必然性はないと感じた。実際、肝心の解決の部分も論理というよりは地道な捜査に主眼が置かれていると思う。 だから、ど…

"当たり前"の違う生活

酪農家の家に生まれた子供の視点から見た生活や、農業高校の生活における常識を、1話10ページで描いたエッセイ漫画。 おそらく、農家の人ならあるあると思うのだろうが、そこまで農家に詳しくないボクには、少ししかそう思えない。でも、そういう考え方もあ…

壁に手が届くからこそ知る挫折

名人位・クイーン位挑戦者決定戦予選を前に競技かるたに復帰した新。その戦う姿に触発され、かるたへの気持ちを新たにする千早。複雑な思いを抱えながらも、仲間の助けを借りつつ、彼らは努力を重ねていく。 だが、努力した先にあるのが必ずしも勝利とは限ら…

そこには確かにあった

ある日から、輪堂進は奇妙な猫をよく見るようになる。マントの様に見える影を纏い、筒状の帽子をかぶった変な猫。しかし、幼なじみの真駒以緒や、写真部の先輩である相原亜子には見えないらしい。 その時も、変な鳴き声がした気がして、何もないところをじっ…

ライバル登場?

桐島新太が偶然に出会った早川鈴音は、月光文庫を愛読する貴重な同志であり、観測者となることを希望する少女だった。満月ツクモに挑戦状を叩き付け、それだけでなく、新太に対して好意らしきものを見せる早川の行動に、ツクモに尽くしても尽くしても報われ…

現実のお姫さまを取り戻しに、ゲームの世界へふたたび

現実世界に戻ってきたキリトが直面したのは、アスナを含む約300名のプレイヤーが、ソードアート・オンラインの世界から帰還していないという事実だった。 眠り続ける結城明日奈に対して、何も出来ない無力感にさいなまれる桐ヶ谷和人だが、1枚の写真が彼にす…

解く段取りがむしろ冥利

本書で使われている「明察」という言葉は、算術の解答が正しかった場合につけられるので、「大変よくできました」的な意味合いがあるのだろうし、本来の意味的には「事実を見抜いた」となるのだろうが、ボクはこれに、証明終了を意味する「Q.E.D.」という言…

仲間が一人増えた、敵が現れた

水中運動会での対抗戦、そして風紀委員会の登場で、完全にバトル路線が確定したようだ。 当初、黒神めだかが生徒会執行部の全役職を担っていたことが象徴しているように、今の状態では、他の役員がいてもいなくても同じになってしまっている。実際、最終的に…

物語の再開

週刊誌で最近見かけないなと思っていたら、月刊誌で再開していたらしい。雑誌が変わった影響もあるのか、物語は急展開する。 ノアの一族の全容が明らかになり、アレン・ウォーカーのエクソシストとしての異質性も表面化し始める。 エクソシストが人格的にど…

弱者の戦術

チョイスの戦いに決着がつく。弱い者が強いものに勝つためには、多少卑怯とも思える手段でも、なりふり構わず行動しなければならないということなのだろうか。 あくまで物語の中のことにここまで言うのは大人げない気もするけれど、自分たちに都合の悪い結果…

すべてはあのとき始まった

穏やかな日常も、その夜の部分である妖としての因縁も、ぬらりひょんの過去から現在へとつながっている。その内容は読んでいただければ良いとして、過去編の中で浮き彫りにされるのは、四百年という時間は妖怪にとっても長い時間だということだろう。 ぬらり…

因縁を抱えた殺し屋と生徒を護る教師

綾木日奈とクラスメイト二人との関係やアッシュとジーザスの関係が固まってきたところで、本格的に24との遺産を巡る戦いが始まる。 これまでが、過去の因縁に囚われているフェーズだったとすると、これからは、いま生きている人間たちとの関係をつなぎなおす…

軍隊はひとつの生物、自死する細胞たち

母星系を空にする全戦力の投入により、連邦宇宙軍派遣艦隊を撤退に追い込むことに成功した<紅天>星系政府だが、戦略的優位性を築いたにもかかわらず、なぜか無用な攻撃を仕掛けてくる。政治力学の常識から考えれば、一地方星系政府が完全に東銀河連邦政府…

暗い墓地の中にあっても明るい希望を失わない話

上官殺しの罪を着せられ、ムオル・リードという生来の名前を奪われた囚人五七七二号の少年は、世間から隔絶された共同墓地に連行される。そこで彼が科せられた労役は、墓穴掘り。しかしその穴は、人の死体を埋めるにはあまりにも大きい。 この場所に連れられ…

子を産み国を育てる

バルアンと共にオラエン・ヤムに登りオルの許しを得るという立場になったカリエは、ヨギナ総督着任を命ぜられる。バルアンに信頼されているという事実はカリエをうれしく思わせるが、ナイヤが懐妊したことを考えると少し複雑な気分にもなる。一方、タイアー…

軽トラの荷台はまた乗りたい

普段は中高生以上をターゲットとした作品を書いている著者の、小学生をターゲットとした作品。東京から九州の山奥に夏休みの間だけ転地療養に来たリョースケ、またいとこの藍とススムがめぐり合う、「たからもの」にまつわる物語。 山奥に一人で隠棲する屈強…

欠片の繋ぎ手たち

オイレンとスプライトが合流してシリーズ最終章に突入、とのことなのですが、視点的にはMPBサイドからの描写がほとんどなので、MSSサイドでどういう動きがあったのかが分からない。このため、最後の方になると特に、何でそんな展開になってんの!と叫びたく…