2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

森ちゃんのあの行動に触れずにはいられないだろう

琴吹ななせの側にいつもいた、森ちゃんと反町くんの初々しいエピソード集でもあるし、本編で突き放された感があるななせを支えてくれる人はちゃんといたんだよ、というお話でもある。そして、知らなくても大丈夫だけれど、知ればもっと本編の内容が深まる追…

玲ねえさんが絡むと限度というものがなくなる気がする

木下姉弟入れ替わり大作戦、海辺とお祭りでの騒動、雄二と翔子のはじめて物語が収録された短編集。はじめのふたつでは、試召戦争から離れ、キャラクターのカップリングが生み出す妙が楽しめます。ある意味いつもどおり。海辺といえばアレ、お祭りといえばコ…

ズキッと思い当たる節が無きにしも非ず

物語は序盤からズシッと重いものをくらわせてくれる。 主人公である武誠治は、大学卒業後に就職はしたのだけれど、会社の体質が自分には合わないと思い3ヶ月で退職、フリーターで職を転々としながら居心地の良い実家に引きこもり、ネトゲ廃人と化す。 まだ本…

非線形経済学の誕生史

経済物理学の誕生に至る著者の活躍の話から、経済物理学という分野、特に著者の周辺で行われている研究を紹介している啓蒙書。相場の変動幅が正規分布ではなくべき分布に従うと仮定すると実際の為替相場の現象が良く説明できるという話や、短期間の市場価格…

新たなステップへ

神奈川ジュニアテニスサーキットで神奈川トップレベルの選手たちを射程にとらえた丸尾栄一郎。わずか1年で到達した小さな山の頂から遥かに高い山々が遠くにあることを知り、プロ選手という選択肢が意識に浮かぶ。鷹崎奈津に連れられて行ったプロの試合で見…

剣から心へ:受け継がれるもの

『伝える』という行為は時間を超越するための一つの手段だと思う。かつて伝承や技術を後世に伝える主要な方法は口伝や徒弟制だったが、活版印刷が再発明されると、その役割は書籍に代わる。しかし、書籍は当初の内容を変質させることなく伝達させることが可…

知らないことも幸せの一つの形かも

サイバーグ、ウィッテンの名前を見ると素粒子物理学を思い出すが、これらは作中の情報制御理論という架空理論に関係している。この理論によると全ての物質は情報と等価であり、『情報の海』にある情報構造体と時空の物質が対応していて、どちらか一方を操作…

災害復興は最終的には自分たちの手でやらなきゃね

地図はすでに存在しているものを紙の上に書き表したものであり、過去から連綿と続いてきた変化の、現在における断面を写し取ったものと言えるだろう。じゃあ、地図作成は後ろ向きな作業かというと、そうとばかりも言えない。なぜなら、いまを知ろうとするの…

彼女の生きた証が地図に残る

知らない街の様子を知るには、数値化された情報と数値化できない情報が必要らしい。前者は街までの距離などだし、後者は風俗・習慣などだ。例えば古代ローマでは、この二つの情報を伝えるため、街々までの距離を示した地図と、名所や住民の特徴などを絵で記…

作られた奇跡なのか?

地球外惑星に発生した知的生命体候補を導き成長させる役目を持った観察官に志願した辻本司と3人の女性型パーパソイド、そして、成長し歴史を紡いでいくスワリスたちとの交流を描く物語。人類の歴史における反省を生かし、地球外知的生命体が文明の危機に陥る…

生き残るためにそれぞれが選ぶ生き方

物事を始める時は大概、着地点に目処をつけてから挑む様にしています。これは何度も痛い目に会いながら身につけた、後天的な性格。本を読むときだって、心が落ち込んでいる時に、さらに辛くなる様な本を選択したりはしないですよね?誰だって、心が浮き立つ…

焦り、怒り、嫉妬、全てを写す盤上の駒

とりあえず、後藤って棋士だったのか、と。前巻の、香子と一緒にいたときの描写からして、ヤから始まる職業の方だとばかり思っていました。その時の借りを盤上で返すべく、獅子王戦挑戦者決定トーナメントに挑む桐山零。しかし、その前に立ちふさがったのは…

圧倒的な存在の登場

どんな世界に行っても他存在との関係が途切れることはないらしい。あまりにミクロの世界なので自分の目で確かめた事はないし、確かめることもできないが、素粒子と呼ばれる物質の最小単位や原子・分子の間にも色々な力が働いていてお互いがお互いに影響を与…

哀しいけれど幸せなひと時

盟主アロマの復活がもたらす破滅の時。魔族に対する反抗組織を持つ国は侵攻を受け、支配体系は丸ごと乗っ取られてしまう。巷にあふれる使途と、生じる混乱。 その頃、レディ・キィとして運命を定められてしまったレイニーは、戦う意志を失い、過去の記憶に浸…

未来を見通す目は歴史を振り返ることで育まれる

人類の誕生から現在までの歴史を概観することによって教訓とすべき歴史的事実を明確にし、これまでの市場経済を支配してきた9つの"中心都市"の興亡を見ることによって、21世紀の世界の歴史を予測している。最初の2章で過去を振り返り、残り3章で、未来に達す…

新章開始

文学少女シリーズの外伝となっているけれど、本編の続編と言われてもそんなに違和感がない。 そもそも外伝の定義が何かによるが、完結した物語の"中"からこぼれ落ちた話を拾うのを外伝と呼ぶならば、この作品はそれに当たらないと思う。なぜならこれは、日坂…

目でテニスを制する

真面目で優等生で、勉強だけではなくテニスまでそんなスタイルなのに、何故か読むと熱くなる様な…。少年漫画の主人公っぽくないのに、とっても少年漫画なのです。 この巻は神奈川No.2の荒谷との対決。序盤はペースをつかみながらも、経験の差か、エーちゃん…

カードゲームみたいな陣取り合戦

地元高校の合併問題を、現役高校生同士の集団対戦の結果で決めるという設定のお話。前巻では男子校とのちゃんばら対決でしたが、今回は対戦相手が女子高ということもあり、体力勝負ではなく頭脳戦が中心。モデルは「水雷艦長」というゲーム。戦艦、駆逐、水…

山猫姫と紅い塩

舞台設定でいうと、唐の時代くらいの社会基盤を持った世界。海に開けた延喜帝国と遊牧民族で構成されるシムールは、内陸の国境線をめぐり百年に亘って対立していた。しかし、月原弦斉という帝国の高級官吏が中央の政争に敗れ辺境に赴任してくると、シムール…

近い将来に備えた意識の変革を促す

水はタダという考え方は、日本では普遍的に定着している考え方だろう。しかし、最近では輸入食料に対する仮想水という考え方が紹介され、食料自給率の低さと共に問題とされている。本書は、そんな時代に必要とされる、統合的土地・水資源管理、青の革命につ…

制御できない力と制御しようとする意思

日本国内での久しぶりの皆既日食が話題になったのは最近のこと。現在では太陽が月の影に入る天文現象として受け入れられている皆既日食ですが、そんな事情を知る由もない古代の人たちは、天変地異の一つとして恐れていたことでしょう。日本では天岩戸に天照…

自らの死を見る少女と、死をまき散らす少年の出会い

西洋風ファンタジーということで作者の最近の傾向とは少し違う作品なのかな、と思い読み始めたのだけれど、キャラクター的な面では、明らかに「さくらファミリア!」などの近作を踏襲している。 戦場にあって鎧も身につけず、踊り子の様な服装で大剣を振るう…

一番すごいのは恭じいちゃん

時系列的には既刊の「ハイスクール☆アドベンチャー」より少し前、響子ちゃんがフランス滞在中の恭助に会いに行くお話です。真衛門の城がある陽炎村で起こる、かつての領主の亡霊が村人に恐怖を巻き起こし、紆余曲折の末に恭助が解決します。ミステリーなので…