このあと衝撃の展開が…って言われても

 木下つくしという名前が表すように頼りない高校生男子が、たまたまクラスメイトの小田かずさが公開しているブログを発見し、それをきっかけに声をかけたことから、不思議なカジノでの対決に巻き込まれていく。
 ポケットという、世界の方向性を決める中心となる少女たちと、彼女たちにベットするプレイヤーたちの駆け引きの物語…と紹介すると、渋い展開であるように感じるかもしれないが、そこまでみっちりとした駆け引きが繰り広げられる物語というわけではない。基本的には、女王様キャラの小田かずさのツンデレっぷりと、彼女に従属しながらも最後には活躍する木下つくしのもてっぷりを描いている部分が多い。
 ただ、木下つくしが妄想する場面では、どこまでが現実でどこからが妄想なのか、その区切りが分かりづらく、それだけ彼が妄想にどっぷり漬かっているという演出なのかもしれないが、読んでいて状況がよく分からなくなることもある。

 全体の構成面でいうと、事態の把握とダラダラとした敵とのやり取りに多くが割かれていて、間延びした印象を受ける。設定的には色々と考えられていることはなんとなく伝わってくるのだが、その深さが具体的に伝わってこず、これから面白くなるかどうかもよく分からないというのが正直なところ。バラエティ番組のコマーシャル前のアオリみたいな。
 上下巻の上巻というのならこの構成も分からなくはないけれど、そういうわけではないみたいだし。キャラクターの言動に萌えられなければ、それで終わりかもしれない。

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相原あきら作品の書評