イメージする思春期の少女

 不老の呪いを持つ火の魔導師シドは、古い知り合いのシスターポーラから、アニスという少女を預けられる。彼女は水の魔導師セイに狙われているらしい。
 シドの下で暮らすようになったアニスだが、シドは人との接し方がぶっきら棒だし、アニスは意地っ張りですぐ癇癪を起し、しかも妄想癖があるので、なかなか上手くいかない。同じ塔に暮らす、剣士のジークや変身能力を持つビアンカが仲を取り持とうとするのだが、起きるのは感情的なすれ違いばかりだ。
 自分で身を守れるようにと、シドはアニスに魔法や剣を学ばせようとするのだが、どうやらあまり才能がないらしく、全く身に付かない。身につけるまで外には出さないというシドに反発し、アニスは飛び出そうとするのだが…。

 悪い魔法使いと狙われる少女、彼女を護ろうとする魔法使いと、設定は完全なファンタジー。当初、アニスのキャラクターが濃く、若干ウザいと思ってしまったが、後半に行くに従って落ち着いてきた。時々、脈絡なく情報が出てきたりする筋のおかしなところがあったり、舞台がほとんど塔の近辺しかないかったりするけれど、なんかこう、掛け合いがかなり面白いんじゃないかと思う。

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花房牧生作品の書評