情報の集積とネットワークがもたらす展望

 ネットワークの革新的技術者である野上の死後に送られてきた彼からのメールに導かれ、彼の事績を追いかけて行くうちに、国家間の陰謀にまで話が広がっていく。

 この作品では、グループ企業の組織体制とルート証明書に至るツリーを、恋愛などの個人間のつながりとWoT(Web of Trust)の概念を、それぞれ対比させている印象を受けた。
 そして、それぞれを代表する人間として辻河原と広野天見を登場させ、その間に荒井香南を置いて物語を展開させているのだと思う。

 過去の歴史をたどって行く過程は面白いのだけれど、物語の行きつく先はかなり唐突に現れる。視してこの終盤での大転換にボクは慣れられない。

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木本雅彦作品の書評