その2種を分けるもの

 地球人の恋の研究するために、アンドロイドになった神崎光輔だけでなく、佐藤日奈子や渡良瀬蒼馬を巻き込んで、様々なイベントを引き起こしていく宇宙人の月夜野イリア。恋を知るためということで形だけを真似ていたはずなのに、段々とそこに本当の心が紛れ込んでいく。
 一方、元の人間に戻りたい光輔は、保健医で宇宙人の八木沼艶子から、自分に起こった現象とイリアの関係を知らされ、意識転移現象の終わり方について具体的に考え始めるようになる。そんなとき、ゴールデンウィークにイリアと二人で出かけていたことを日奈子に知られ、人間関係が少し複雑になっていく。

 5人の登場人物たちに少しずつ変化の兆しが見えて来たところで、はっきりはしないけれど、どうやらおしまいになってしまったみたい。人間の心というか意識にスポットが当たっているので派手さはまるでないのだけれど、普通のことを真面目に考えるみたいな切り口がまあまあ好きだったので、少し残念な気がする。

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北川拓磨作品の書評