ベタさが面白要素の物語

 女子高校生・花村祭が7年前から持つ赤い猿のぬいぐるみサンジュは、自分で動いて話す。当時は色々あって不思議に思いながらも受け入れてしまったので、もういまは違和感がなく一緒に暮らしている。
 そんな変わった部分と、異常なまでにドジで運動音痴だということを除いては、ふつうの少女だったはずなのに、夜の公園で人を襲う少年に出会い、その少年をサンジュが祭に乗り移って撃退したことで、平穏な日常は様相をがらりと変えてしまう。

 サンジュが実は火猿という名前であり、魔遊庭という異世界に住んでいた枷人という種族であり、同じ様な異世界・マキナガーデンに住むマキナリアという種族と仲が悪いという。その原因には、マキナリアに寄生する粘性機群という存在を抑制する効果が、枷人の死んだあとに残る灰にあるとか何とか。
 よく分からないながらも、とにかくすごい力を持った奴らに狙われることになり、ふつうならば逃げ出したくなっちゃいそうなものだけれど、祭は少しふつうと違っていて、結局は自分から渦中に飛び込んで行ってしまうことになるのだ。

 熱血バカの火猿と、ドジだけどある意味ですごく強い祭が遭遇するバトルアクションあり、学校での友情物語あり、そして影の黒幕や謎の美人お姉さんがいたりするベタさが面白要素の物語。今回は、ヒーロー登場、そして月日は流れ…という感じで2巻に続きそうです。

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春日部タケル作品の書評