ついにストーリーは時間を越える

 今回は八九寺真宵語り部ということはなく、いつもどおり阿良々木暦語り部として描かれている。しかも、八九寺真宵が主役のはずなのに、出ずっぱりなのは忍野忍阿良々木暦の二人。迷うのもこの二人で、空間的な迷子ではなく時間的な迷子になるのだ。つまり、タイムスリップ?してしまう。
 夏休み最終日。宿題が終わっていないことに気づいた暦は、しのぶえもんにお願いして過去に行くことにする。ところが到着した先は11年前の母の日の前日。真宵の命日の前日だったのだ。そこで暦は真宵の交通事故を防ごうとする。

 つばさタイガーでは羽川翼語り部で、阿良々木暦がほとんど登場しない展開だったけれど、まよいキョンシーでは主役のはずの八九寺真宵がほとんど出てこない。出てきたとしても少し違う形で登場する。
 そして過去の出来事なので、いつもは高校生のキャラクターもちっちゃくなっている。そう、幼女羽川が登場するのだ。

 現在の状況は過去の様々な出来事が積み重なって成立している。不幸な出来事だって、それが後の幸せを生む重要なファクターになることもあるのだろう。そんな感じの物語。きっちり以前のエピソードとのつながりが出来ているところは、きれいに仕上がっていると思う。でも、つばさタイガーに比べれば雑談は非常に多い。

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西尾維新作品の書評