欲望に潜むもの

 第138回直木賞受賞作家である桜庭一樹氏が元々、いわゆるライトノベルというジャンルで作品を発表していたことは周知の事実です。最近は、純文学志向の私小説的な作品を発表することが多く、あまりライトノベルのジャンルでは活動していないように見えますが、こちらにも未だ完結していない作品があります。いつかは完結させて欲しいものですね。
 そしてこれがその作品。第一次世界大戦前くらいの時代、日本からヨーロッパの小国に留学している少年、一弥と、彼が入学した学園に半軟禁されている少女、ヴィクトリカの物語。役割を例えるならば、ヴィクトリカがホームズで一弥がワトソンであり、主にヴィクトリカの生い立ちに関係して発生する事件などを、二人を中心とする人間関係を絡めてながら解決していくというストーリー。

 そしてこれはその第4巻。一弥と映画を見に行った帰り、アブリルは映画の情景と学園の風景が似通っていることに気づく。怪談映画に出てきた時計塔に進入しようとすると、普段にはない口調でセシルにとがめられる。
 その頃、一人退屈していたヴィクトリカは一冊の回顧録を見つける。それは、数十年前、王国に金と恐怖をもたらした錬金術師が残したものだった。
 そして、時計塔で発見される死体。果たしてこれは錬金術師ののろいなのか?一体学園に隠された秘密とは?ヴィクトリカの生い立ちがいま明かされる!

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