作られた奇跡なのか?

 地球外惑星に発生した知的生命体候補を導き成長させる役目を持った観察官に志願した辻本司と3人の女性型パーパソイド、そして、成長し歴史を紡いでいくスワリスたちとの交流を描く物語。人類の歴史における反省を生かし、地球外知的生命体が文明の危機に陥る方向に進もうとすると、冷凍睡眠から目覚め、スワリスに変装して紛れ込み、気づかれないように介入するのが司の役割なのだが、何故か度々、介入に失敗して、人類と同様、血と鉄の歴史を紡いでしまう。
 初めて読み終わったときは次の巻が待ち遠しくて仕方ない気分でした。未熟な若者である司が一種族を導く神のような立場に立っているという矛盾。迷いながら間違いながらも、各時代時代の人々と一歩一歩着実に進んでいく。何が文明を形作るのか、そんな命題も含んでいる、楽しくも考えさせられる作品です。(全4巻)

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小川一水作品の書評