生き残るためにそれぞれが選ぶ生き方

 物事を始める時は大概、着地点に目処をつけてから挑む様にしています。これは何度も痛い目に会いながら身につけた、後天的な性格。本を読むときだって、心が落ち込んでいる時に、さらに辛くなる様な本を選択したりはしないですよね?誰だって、心が浮き立つような、楽しくなる様な本を選ぶはず。だから、自分の許容範囲を超えるような内容を提供されるのは困る場合もある。何が言いたいかというと、すでにラストが分かっている物語のサイドストーリーなら安心だよね、という弁護もどきです。

 そんなわけで、ゲームがクリアされる前、キリトがアインクラッドで出会った四人の少女の物語が繰り広げられています。基本的には下層に降りて来た気まぐれ最強剣士の人助け、といったところですが、関わった時期によって、過程も結末も少し変わってきます。ヒロインたちも、最前線に身を置いていたアスナとは少し違う生き方を選択しているので、物理的な側面よりも、精神的な側面が主に描かれている感じです。前作よりも、アインクラッドの生活が垣間見える作品と言えるでしょう。
 また、前巻における登場人物の行動を左右するに至る過去のエピソードが入っているので、かなり補間的な作品だと思います。

   bk1

   
   amazon

   

川原礫作品の書評