新たなステップへ

 神奈川ジュニアテニスサーキットで神奈川トップレベルの選手たちを射程にとらえた丸尾栄一郎。わずか1年で到達した小さな山の頂から遥かに高い山々が遠くにあることを知り、プロ選手という選択肢が意識に浮かぶ。鷹崎奈津に連れられて行ったプロの試合で見た同い年の池爽児のプレーから、テニス一筋で生きる姿の凄まじさに衝撃を受け、プロを目指すことを決める栄一郎。これまでとはレベルの違う、過酷な練習が始まる。
 一足飛びではなく確実に、しかし驚異な速さでステップを登って行く栄一郎の描き方は、虚構だということは分かっていてもどこか現実的で応援したくなる。

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勝木光の書評