どの視点に立つかという、ただそれだけの違いなのに

 天城錬たちが世界樹の事件に巻き込まれている頃、天城月夜・真昼の姉弟は、メルボルンで賢人会議の魔法士サクラと出会っていた。サクラという名前に過去の記憶を呼び起こされた真昼は、不確定要素が多い状況にもかかわらず、積極的に事件に係わることにする。
 同じ頃、賢人会議の正体を確かめるべく、黒沢祐一と共にメルボルンに潜入したディーとセラは、祐一の不在をついて襲撃してきたモスクワ所属の魔法士イルに敗れ、ディーは捕虜となってしまう。

 マサチューセッツのファクトリーで生まれ、使い捨てられる同胞に怒りを感じて人間を憎んだ過去をもちながら、今ではモスクワ・シティ維持のために自分の命をも惜しまない行動をとるイル。そして、かつて目の前の同胞を救えず、その後悔を取り返すかの様に各地の同胞を救い出すサクラ。
 それぞれが信じる道を突き進むゆえに衝突せざるを得ない二人の結末は?そしてそれに天城姉弟はいかに関わるのか?

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三枝零一作品の書評