思っていることはとりあえず言っちゃおう

 フィアを護る天樹錬が、なりゆきで、マザーコア推進派のアニル・ジュレ主席執政官を護衛することになり、つまりは天樹真昼とも敵の立場になってしまう。マザーシステムの真相を市民に公開しようとする勢力とそれを阻止しようとする勢力、魔法士と人間、それぞれが自らの理想を体現すべく、明に暗に活動するのだけれど、いまのところ推進派が先行している感じがする。
 でも、アニルと真昼は、音も似ているけれど、くえない感じはもっと似ていますね。そばにいると、みんな、自分のペースが分からなくなってしまう。

 そんな争いの裏側で、偶然に集まった、月夜、ヘイズ、イルが持つ情報が合わさる時、情報制御理論誕生の謎が見えてきたり、見えてこなかったり。街中で出会っちゃうクレアとサラ、フィアのやり取りなんかも微笑ましいですし、ディーと錬の弟対決も興味深いです。

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三枝零一作品の書評