世界の理が否定したとしても、それだけでは諦められない

 浮遊大陸オービエ・クレア。その下に広がるのは穢歌の庭と呼ばれる領域で、そこに住む幽幻種から大陸を守るため、氷結鏡界という結界が、皇妃と巫女たちによって張られている。
 シェルティス・マグナ・イールという少年は、かつては氷結鏡界と巫女たちを守る護士の一人であり、穢歌の庭に落ちて生還したただ一人の人間でもある。その結果、巫女の宿す沁力と反発する幽幻種の力、魔笛を宿すことになり、護士から追放され、巫女の一人である幼なじみユミィ・エル・スフレニクトールとは手も触れあえなくなり、彼女を守るという約束も果たせなくなってしまう。
 それから数年後、居住区で普通の生活をするシェルティスは、再び幽幻種と遭遇してしまう。それらのとる奇妙な行動は、平穏な生活の終わりと、昔の約束を取り戻すための闘いの始まりを告げるものだった。

 前作と同様に、沁力と魔笛という対立する存在と歌が軸にあるみたい。シリアスな状況にありながら、今のところ軽妙な印象も並立するのは、居住区に住む一般人のエリエとユトという存在のおかげである気がする。
 この辺のバランスが上手く取れれば、面白いシリーズになる感じがする。物語自体は始まったばかりで、まだまだ色々な要素がこれから登場するのでしょうけどね。

   bk1

   
   amazon

   


細音啓作品の書評