わずか二週間での急成長

 まるまる一冊フロリダ編。最先端のテニスとの方法論の違いに戸惑いながらも、自分流のやり方を貫いて、一歩一歩地道に成長していく丸尾栄一郎。この成長のための伏線も日本にいた時から張られているので突飛な感じがせず、地に足がついているという印象がある。これは栄一郎の性格ともぴったりマッチしていてブレがない。
 でも、こうやって成長できたのは、日本にいる鷹崎奈津のこっそりサポートのおかげでもあるけどね。

 日常の描写で良いと感じたのは、ニューイヤー・パーティの様子かな。本気でテニスに熱中している連中が集まれば、どっかの飲み会みたいに適当に話を合わせる必要なんかなく、自然とテニスの話題になってしまう。
 こういうのは多分どこでも同じで、学問の世界でも、飲み会を開けば最後には研究の話になってしまったりする。真剣というのは、それが日常の全てになってしまうことを言うんだろうな。

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勝木光作品の書評