助さん格さんの要らない水戸黄門

 ダイアナが一人でお出かけしている時のこと、リゾート気分を満喫していたケリーとジャスミンに、人を使ってちょっかいをかけてきた少女オディール。初めは迷惑そうにあしらっていた二人だが、何度か彼女に会うことで、父親の言いなりになっているオディールに興味を持つようになる。ちょっとしたエサを使って彼女の父親を釣り上げ、オディールを変えたいと思う二人(おもにジャスミン)なのだが…というお話。

 オディールの父親のちんけな小悪党ぶりがいつも以上に小悪党っぽい。この作品に登場する悪役は大抵、上にはおもねり下には高圧的に対する組織人であることが多いのだが、今回ほど小人ぶりを発揮する悪役は珍しい。正直言うと、ケリーやジャスミンと渡り合うには余りにも役者が不足しているのだが、本人があまりに感性が鈍いことと、ダイアナがいなくていつもの情報収集能力が低下していること、二つの条件が重なって、ギリギリでバランスが保たれている感じがする。ラストの方は、少ないんだけれども、キングの名にふさわしい活躍をする。
 新作に専念するため、続巻はしばらく刊行されないらしいです。

   bk1

   
   amazon

   

茅田砂胡作品の書評