軽トラの荷台はまた乗りたい

 普段は中高生以上をターゲットとした作品を書いている著者の、小学生をターゲットとした作品。東京から九州の山奥に夏休みの間だけ転地療養に来たリョースケ、またいとこの藍とススムがめぐり合う、「たからもの」にまつわる物語。
 山奥に一人で隠棲する屈強なおじいさん、子供たちの秘密基地、そしてそこに隠された遺産。四百年の時間を経てあんなものが自分の目の前に現れたとしたら、どんな人でもドキドキワクワクすることだろう。

 主人公のリョースケくんは、ちょっと弱気なところもあるけれど、分別を弁えたとても良い子。人の心を慮って自分の行動を見直したり、出来ないことは出来ないと格好つけずに言える。まるで、道徳の教科書に出てくる主人公みたい。一方、またいとこの藍は、そんなリョースケの許嫁で、非常に活発で行動力のある子なんだけれど、料理上手で妙にリョースケを意識している。
 これは、そんな彼らの、ひと夏の冒険と成長の物語です。

 冒頭で、軽トラックの荷台に乗るシーンがあるんだけれど、子供の頃はあそこに乗るのが楽しみだったなあ。いまやったら怒られるだろうけれど。

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