子を産み国を育てる

 バルアンと共にオラエン・ヤムに登りオルの許しを得るという立場になったカリエは、ヨギナ総督着任を命ぜられる。バルアンに信頼されているという事実はカリエをうれしく思わせるが、ナイヤが懐妊したことを考えると少し複雑な気分にもなる。一方、タイアークのドミトリアスの許には、カデーレからの客が訪れていた。
 繁栄の一途をたどるエティカヤと、食料不足にあえぐルトヴィア。かつて友諠を結んだ人々が、それぞれの国の中枢で良かれと思って行動するのだが、一度勢いづいてしまった流れはそうそうと変わらない。そして、負のスパイラルに入ってしまった側は、どうしても過去の楽しい時間の記憶に囚われてしまうのだろう。
 母親となったカリエが新たに直面する敵は強大だ。これまでの困難を乗り切ってきた力で、今回も乗り切れるのだろうか。

   bk1

   
   amazon

   

須賀しのぶ作品の書評