敗走からの転進

 百歩必中の金票(ひょう)を手に天下取りを口にする若者、廉把。口先で兵士を丸め込み仲間として敵将を討ち取るべく行動するが、その怪物じみた力の前に屈し、仲間をすべて死なせてしまう。
 それから8年後、廉把は、撞木を持ち歩き虚空に見えない鐘を撞くのを日課とする、狼无と行動を共にし、特に何を目的とすることも無くただ生きていた。そして、ボロ雑巾の様ななりながら亡国の皇家に属することを示す三葉五弁蘭の花飾りを持つ子供、蘭珈と出会う。そこから始まる物語。

 あまりにも相手の力が強大すぎて理解不能だし、ストーリー的にも良くあるような気もするが、キャラクターがとても生き生きと描かれていると思う。ちょっとした動きの描写のいちいちが細かい。ただ、何となくこなれた感じがして、冒険味が薄いようにも感じる。
 内容だけを考えると、電撃文庫からメディアワークス文庫に移籍になった理由はあまりない様に感じるので、何か他の理由があるのだろう。

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古橋秀之作品の書評