メディアワークス文庫
柴村仁「×××さんの場合」紅玉いづき「2Bの黒髪」橋本紡「十九になるわたしたちへ」綾崎隼「向日葵ラプソディ」入間人間「19歳だった」の、いずれも19歳を主人公とした短編集。 個人的な好みでいうと「×××さんの場合」「2Bの黒髪」が良かった。前者は19歳…
結城佳帆は12歳の時に両親を亡くし、年の離れた妹・真奈と二人きりの家族で過ごしてきた。その妹は、中学の時にした不注意の結果がもたらした出来事のために、家の外に出なくなってしまった。姉は、そんな妹の目を外に向けようとして、自分が一目ぼれしたイ…
幼稚園から高校までの一貫女子高である私立藤鳳学院に赴任した生物教師の伊藤は、同僚教師の受村から永遠の命を持つ生徒に関する噂を教えられる。そのときは一笑に付した伊藤だったが、転入生の天名珠と共に、その生徒、識別組子と出会い、明確な証拠はない…
アルフォンスの実家のレイラート家の差し金で、ソラの防具店シャイニーテラスに営業停止命令が下される。アルフォンスをレイラート家へと戻すためだ。その情報をシャインの父にしてスカイシールドを取り仕切るラヴィアンから聞いたアルフォンスは、激怒して…
2020年2月14日。音信不通になった弟、明雄の自宅を訪ねたフリーライターの清水シュンジは、射殺体となった弟との再会を果たす。重要参考人として警察の取調べを受け解放された清水のもとに、弟の婚約者を名乗る美女、榊玲子が現れる。彼女からの情報を基に、…
日暮旅人は他の人に見えないものが見える。それは声であり匂いであり味であり感触である。彼は視覚以外の五感を失った代わりに、他の感覚を目で見ることが出来るのだ。彼はその能力を利用して、誰かの大切な探し物を見つける探偵をしている。 彼の娘である百…
小学生の頃から一人で小説を書きためてきた僕が、学科の飲み会に全裸で乱入してきたオレと出会ったことで、同級生で作家の甲斐抄子には才能がないから諦めろと罵られながらも、表舞台に出るために行動を開始する。 というのが第一章で、幕間に選考会議の様子…
同僚の女房に連れられて縁結びの参詣房を訪れた小宰相の君は、猿楽太夫と出会う。日を空けず彼女の仕える宮家へと通う猿楽太夫に対して、それを受け入れ求めつつも、どこか冷ややかにそれを見つめる自分の姿があった。自らの行く末に不安を抱く同僚たちの多…
テレビ通販番組制作会社に初めての新卒として就職した数馬瞬は、アパレル部門のADとして配属されたものの、勝手に番組の進行表を書き換えてバイヤーの怒りを買い、人手不足のコスメ部門に雑用係として拾われる。 しかし、拾われた先でも景表法に抵触するよ…
東京でコンビニの雇われ店長になる予定だった牧水良平は、大手コンビニの本部と対立したオーナーが過労で倒れたことで、その将来を失ってしまう。 失意のままの帰郷。やる気をなくしてぶらぶらする彼の目に映ったのは、経営不振にあえぐ実家の商店と、近隣に…
賀茂光栄を主人公とする、陰陽ノ京のスピンオフ第2弾。今回は慶滋保胤と伯家時継も彼と絡んで登場するので、前作よりは本編に近い感じがする。また、個人的に裏の主役と思っている、安倍吉平と佐伯貴年の関係性も織り込まれている。 安倍晴明が出向いた摂津…
営業部の夏目瑛太は、派遣社員として入社した舞原七虹に興味を引かれる。飛びぬけた美貌とスタイル。だが人とは関わらない。名前で呼ばれることを嫌がる。並んで歩く時は必ず車道側を歩く。時折、夕焼け空を見て寂しそうな表情を浮かべる。 そういった彼女の…
前巻は、本田綾音が真っ向勝負で挑むというところにゲームの真骨頂があった。しかし今回は、名門校・一流選手に対して、公立校・普通の選手がどの様に対抗するかというところに焦点が当てられている。だから、チームとしては県大会でベスト4となって春の甲…
ある時、世界は大崩壊と呼称される連続自然災害に襲われ、人類社会は崩壊の危機に瀕した。国家はほとんど機能しなくなり、地表にはどこからともなく魔獣と呼ぶべき生物が現れ、人間を襲った。 しかし、自然界のバランスのなせる業か、もはや由来も途絶えて久…
小学生の頃に出会い付き合い始めた舞原星乃叶と逢坂柚希、そして彼の幼なじみである美蔵紗雪。しかしある日、星乃叶は家庭の事情で引越しをすることになる。星乃叶は柚希に浮気しないことを誓わせ、手紙で連絡を取り合う約束をして旅立っていくのだが…。 一…
中学生の時のモヤモヤを抱えたまま大人になり、いまも空き地で一人ギターを引き続ける三葉由岐としっかり者の彼氏の丹羽静、食堂の手伝いをする女子高校生北本と本屋で万引きをする同級生竹仲、ニートのカップル各務原雅明と中家ソウ、そして、家出小学生と…
足利将軍上覧の田楽興行で桟敷崩れが起きた日、猿楽の三郎太夫と出会った孤児の犬弥は、田楽一座に預けられる。数年後、桟敷崩れで死んだ舞い手、花夜叉の生まれ変わりと評判を取る仕手となった犬弥は、ある武家に召抱えられるのだが、本家と分家の争いに巻…
危険な旅に出かける人と、その帰りを待つ人。生きて帰れるかわからないからあえて突き放すけれど、それでも絶対に帰ってくると信じているからあきらめることはできない。そんな想いを支える場所として、防具屋シャイニーテラスは今日も開店している。 元貴族…
曾祖父の残した遺言をひ孫たちが解こうとするお話。普通の話だなと思わせておいて、最終盤でひっくり返す構成は前作と同じだけれど、前作ほど強烈ではない。 途中いくつか疑問に思うポイントがあると思うけれど、最後の最後で解決が与えられる。でも、こうい…
夜の学校に忘れ物を取りに帰る。今日、無理をして取りに行かなくても何とかなるんだけれど、やっぱり忘れっぱなしにして置きたくないので、怖い気持ちを我慢して戻る。忘れ物は元のまま残っているとは限らないけれど、今どうなっているかを知ることが出来れ…
男に騙され裏切られヤクザに売り飛ばされ、美咲は車に飛び込んで死のうとする。その車に乗っていたのが遺体ブローカーの黒木と正塚で、事故車の弁済をするために仕事の手伝いをさせられることになる。売り飛ばされた先のヤクザからは逃げられたけれど、別の…
『プシュケの涙』の舞台となった時期から三年後の人々の姿を描く。共通して登場する人物もいるし、以前の事件の事後処理みたいな部分も含んでいるけれど、新たな人物とその物語がメインだと思う。 テーマは「血脈」かな。血脈は過去から現在を経て未来につな…
高校野球に女子選手が参加できるようになった世界のお話。 小学生の本田綾音は、川崎巧也と約束をする。高校生になったら同じ学校に行き、甲子園を目指すこと。そして綾音はイギリスへと旅立っていった。 三年後、日本に帰国した綾音は、巧也との再会を楽し…
1930年頃、北の炭鉱山と麓を結ぶ路線があった。息吹山炭鉱線と呼ばれる急勾配のその路線には、途中、息吹山隧道(ずいどう)がある。息吹山保線区の保線手である所田三郎は、息吹山新線の工事監督という本来業務を差し置いて、隧道内の点検に来ていた。 そこ…
お調子者で評判の波河久則は、友人二人と一緒に、偶然拾った携帯電話でのいたずら電話を楽しんでいた。三人で順番に電話をかけながら、アドリブで話を紡ぐ。最後にかかった相手の少女に対して、久則は、彼女の未来の恋人が電話をかけてきたという設定で、あ…
南北朝時代から室町時代へと移り変わる頃、興福寺あたりに十七歳の猿楽太夫がいた。後に観阿弥と呼ばれる少年は、足利尊氏の持つ威容に魅かれ、その将軍すらもひき付ける芸を極めようと志す。その一歩として自分だけの一座を立ち上げようとするのだが、見込…
絵本なので絵を楽しめば良いと思う。絵は水彩画の優しい絵。文章は「キノの旅」の扉のショートストーリーが続いている感じと思えば間違いない。 大人=お金がある人、という解釈のもとに作られた絵本。やはりリアルの本屋さんは必要だな、と思いました。 bk1…
文通相手の虚構を受け入れて恋をするエカ、理想を傷つけることを怖れて本気であたれないマル、何気ない一言で自分を縛ってしまっているオズ、そして母親の理想を体現しようとして崩れていくシバ。そんな女子高校生四人組が集まるのは放送室の一室。そこは外…
真っ暗な細い路地を入った先にある建物の地下にある防具屋シャイニーテラスの客になるには、3つの約束を守る必要がある。シャイニーテラスのある街レーギスに住んでいること、レーギスに帰るために最大限の努力をすること、帰ったら店に顔を出し旅の出来事を…
アパートの前でずぶ濡れになっていた所を助けた女性、譲原紗矢は何故か自分の部屋に居候することになってしまう。彼女がスーパーに職を見つけ、出会ってから1ヶ月後、ようやくアパートの前にいた理由が明かされるのだが… そして、同じ高校の演劇部だった女性…