蟻たちの変化

 外見と中身が入り組んでいて、単純には表現できない感じがする。
 キメラ・アントでもあるイカルゴはハンター側の仲間になっていて同族を殺そうとするけれど殺しきれない、普通の人間ぽさを見せている一方で、ゴンは自らの目的を達成するためなら他の全てを切り捨てかねない危うさを見せている。ネテロは政治のしがらみで選択肢を奪われている一方で、王たちは新しい選択肢に目覚めようとしている。

 イカルゴが人間の仲間として許容されている一方で、王たちが人間に受け入れられることが無い大きな理由は、彼らの力が人間のコントロールできる範囲を超えてしまっていることだろう。イカルゴはいざとなればいつでも処分できるが、王たちを殺せるチャンスは今だけという事実がネテロを縛り、そして形振り構わない手段に訴えさせようとしている気がする。

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冨樫義博作品の書評