がんばらないのには理由がある

 小説において三人称の描写を"神の視点"と表現することもあるけれど、まさにそれを意識した作品に思える。月読神臣という兄を中心に物語は進むのだけれど、兄を監視している妹の月読鎖々美の視点で描写される。日本神話を下敷きにした、ラブコメの雰囲気を持つ作品なのだけれど、後半に進むに従って、内容的にも人物的にも中心がシフトしていく。
 "お約束"を楽しむという意味では、どこから読み始めてもどこで止めても違和感がない。逆に言うと強いストーリー性はない。あまり深いことを考えず気軽に楽しむ作品だと思うが、"お約束"に興味がない人には全く意味のない作品かもしれない。

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日日日作品の書評