争うのは半額弁当だけではなく、自分の在り方

 狼として着実に実力をつけてきた佐藤は、ボス犬である山原が率いるダンドーと猟犬群を抑え、半額弁当を獲得することに成功する。この事実は、弁当をとる事を優先するために犬となった山原のプライドをいたく傷つけ、佐藤は山原につけ狙われることとなる。
 そんな因縁が生じたころ、佐藤の学校にかつてのあこがれのクラスメート広瀬さんがやってくる。妹系アイドルとして活躍する彼女は、昔と変わらない様子の佐藤に少し興味を持ち、色々な事に連れまわすせいで、徐々にHP部や半額弁当争奪戦から遠ざかる結果になるのだが。

 今回は半額弁当争奪という熱狂の外にいる人間が物語の中心人物になっている。アイドルという一般社会でも通用する価値と、闘って勝利した結果獲得する半額弁当の価値。とても釣り合わないように見える二つの価値のうち、本当は何が重要なのか?腹の虫という嘘偽りのない本能が佐藤を答えに導きます。
 前半のストーリーとも重なるけれど、一見ダメに見える人間でも、抑える所さえ間違わなければ、自分やだれかにとっての良い結果を導き出せるということでしょう。

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アサウラ作品の書評