小さな火種が大きな戦火へ

 「魔族」対「六賢人」という分かりやすい構図から、「魔人の弟子&楽人」対「聖人&工人」という六賢人内部の対立に変化してくることで、どちらが正義でどちらが悪というような二元論ではなく、単なる利害対立の様相を呈してきた。その対立の背景には、数百年も前の大罪戦争で起きていた何かがある模様だ。
 そんな利害対立の問題だけでなく、アルカインたち一行が訪れる大国サイエントロフでは、人種対立による統治の歪みまで起きていて、内乱までもが彼らの行動の中に組み込まれていく。

 物語の中核にある大罪戦争、その真実への扉の鍵を握るセロは、いつもの様にフィノに過保護にされ、今度は楽人シェリルにまでおもちゃにされる始末。その結果は扉絵でご覧あれ。
 物語は、ヒーロー登場というところで次巻に続きます。

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渡瀬草一郎作品の書評