魔術師の犯罪

 魔術が学問として研究されている世界。日本で唯一、魔学の研究施設がある私立城翠大学に、世界で6人しかいない魔術師の一人、佐杏冴奈が着任する。彼女と偶然出会った天乃原周は、彼女の研究室に属することになる。彼女の着任を待つように、新入生ガイダンスの会場で行われる殺人予告。必然、天乃原周も事件の関係者となることになり…。

 魔術と推理小説という、一見すると相反するテーマを融合させ、物語として破たんなく着地させている。
 そもそもなぜこれらが相反すると思えるかというと、主要な理由は、読者が魔術体系を常識として備えていないから、犯罪の実行に魔術を使用されてしまうとそれを論理的に導くことが出来ないということだろう。
 この作品では、前述の問題点を回避するために、いくつかの策が施されているので、一応フェアと言えると思う。

 もう一つ面白いと思ったのは、ライトノベルには必ずあるものにトリックが仕込まれているところだろうか。確かに不思議だな、とは思ったのだけれど、ボクは最後まで気づかなかった。

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久住四季作品の書評