少年らしい未来への希望と爽やかさ

 足利将軍上覧の田楽興行で桟敷崩れが起きた日、猿楽の三郎太夫と出会った孤児の犬弥は、田楽一座に預けられる。数年後、桟敷崩れで死んだ舞い手、花夜叉の生まれ変わりと評判を取る仕手となった犬弥は、ある武家に召抱えられるのだが、本家と分家の争いに巻き込まれ、憧れの武士の醜い面と、遊芸者の強さに気づかされていく。
 観阿弥を主役とした前作は様々な意味で欲を抱えた、ある意味あくの強い物語だったけれど、今回の犬王を主役とした作品は、少年らしい未来への希望と爽やかさを持っているように思う。
 室町初期の能の黎明期の物語第二弾。

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永田ガラ作品の書評