生徒会戦がキモなら、かっちりルールを固めて欲しかった

 人間と魔物が共生する世界似テストケースとして設立された、人間と魔物の子供たちが一緒に通う高校。そこには人間側の勇者生徒会と魔物側の魔王生徒会があって、毎年抗争を繰り広げている。
 今年の勇者生徒会長に就任するのは、才色兼備の無敵超人伏城野アリス。そして、前魔王の気まぐれで魔王生徒会長に就任することになったのは、アリスの幼なじみで平凡人間の兎沢紅太郎。魔王は正体がばれたら負けなので、覆面をかぶって変装しているからアリスはその正体に全く気づかない。そして彼らの周囲には変なやつらが集まっているので、抗争も真面目にというよりは漫才的に進行する。
 そんな彼らだが、二つの生徒会が対立することにより生じる生徒間の不和を解決することができるのか。

 幼なじみ二人の能力と関係性、キャラクター同士の掛け合い、生徒会メンバーの容姿性格、それぞれ様々な作品に似ているな、と思うところはある。しかし、日々大量の作品が出版される現状を考えると、部分部分が似ることは不可避であり、基本部分がパクリでなければ、許容範囲内なのではないかと思う。
 あまり深く考えず雰囲気を楽しむ感じの作品だとは思うが、ベースにある生徒会戦のレギュレーションはもう少しきっちり決めておいた方が良かった気はする。最後の正体を暴くシーンなどは、ああいうやり方がアリなら適当にスケープゴートを選らべばすむ事だし、後出しジャンケンみたいなことも可能になる。だから判定勝ちというのは有り得ないと思うんだよね。

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哀川譲作品の書評