人々を翻弄する潮流

 乗船の爆破により海を漂流することになった守屋篤志と五乃坂雄平を救助すべく動こうとする大牟田たちだったが、何ものかの妨害により、当局による救助活動は打ち切りとなってしまう。加えて、救助に必要な情報端末は全滅させられ、船の手配もつかない。
 篤志が絶望的な状況に陥っている時、貞教は父親との再会を果たす。父に挑む貞教だったが、他愛もなく一蹴され、自らの力量不足を嘆く。その瞳には暗い光を宿して。

 かつてあり、いまもなお続く人のつながりが、絶望的な状況に差し込む一筋の光となって差し込んでくる。だが一方で、篤志を狙う組織の全貌も明らかになってきた。
 ただ変異種の調査に命をかける生物学者であるはずのレイスハンターは、どこまで変質していくのか。あるいは理想の姿を見つけることができるのか。様々な思惑が絡み合い、その流れの中で人は翻弄されていく。

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白川敏行作品の書評