近いからこそより傷つく

 夏休みが終わり二学期が始まる。文化祭の準備に向けて学校が動き始めた頃、ましろの友人リタ・エインズワースがさくら荘を訪れ、ましろをイギリスへ連れ戻そうとする。
 ましろの才能の凄まじさを第三者の口から改めて知らされた空太は、ましろを引きとめるべきか迷う。さくら荘の面々と文化祭の準備を進める日々の中、タイムリミットは刻一刻と近づいてきた。

 さくら荘における天才問題はある程度は片付いたのかな、と思っていたところで、また新たな犠牲者が登場するという展開。しかも、空太たちよりもましろに才能的に近い分、ましろには届き得ないことを肌で感じてしまっているのが、リタという人物だ。
 才能では及ばないと思っていても、諦めきれない道ならばどうすべきか。そういう視点で見れば、リタは空太や仁の先を進む人間でもあるだろう。

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鴨志田一作品の書評