妖怪なのにほんわかコメディ

 妖怪や幽霊が主人公なので怪談と呼んでも良いのかも知れないが、ちっとも怖くはない。やたらと可愛らしい妖怪や、ポジティブな幽霊が登場する短編集。

 表題作の「隙間女(幅広)」は、単に狭いところ好きとしか思えない程度の隙間に潜む妖怪少女と、ぽっちゃり好きの青年のお話。この続編が「隙間女(飽和)」。
 「消えない傷と恋占い」は、鏡に映った少女に包丁で切りつけられた少年と、意図せずそれを行った少女の偶然の出会いのお話。
 「デコは口ほどにものを言う」は、自分の意見を主張できない引っ込み思案な少女にできた口の人面疽と青年のほんわか交流を描いた作品。
 「花摘みの園で相席を」は、男なのにトイレの花子さんにさせられた幽霊と、そのトイレで弁当を食べる少女のお話。

 どれもほんわかコメディ的なお話で、さわやかな感じなんだけれど、もう少しピリッとした要素があっても良いかもしれないと感じた。せっかく怪談要素を混ぜているのだし。

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