これもまた一つの現実

 学園理事長であり星柱の兄でもある千陽院狼輝により腐海流の使用を禁じられた連動レンヤの前に、レネシクル強奪犯を追う捜査官を名乗る七曜なななが現れる。舞波分家の娘であり、舞波すまるのスペアでもある彼女は、沙良瑞貴を容疑者と睨み、彼女と親しいレンヤに接触して来たのだ。
 成り行きで捜査に協力することになったレンヤは、なななの瑞貴を追う動機に、彼女の親友であり、先の事件の時に瑞貴に挑み返り討ちにあって入院中の鞠谷小夜子の敵討ちがあることを知る。

 そんなこんなでレンヤにほったらかしにされ、なななとレンヤの親しさを見せつけられてやきもちをやいたすまるの前には、洗脳のランカースキルを持つ千陽院家の養女、莫迦奈が近づいていた。
 そして明らかになる事件の真相。そこに秘められたランカたーたちの希望と挫折とは。

 前巻ほど派手な事件は起きない。だが、自分の夢を叶える為の努力と、その前に立ちふさがる現実、そして挫折。ここにあるのは、求めても報われなかったランカーの姿だ。
 そんな、夢破れ崩れ落ちようとしているランカーに対して、レンヤはどのように相対するのか、そして彼らに何を見せるのか。またしても熱い叫びが響き渡る!

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裕時悠示作品の書評