同じようだけど違う、つながっているようでつながっていない

 自殺とは思えないような演出がなされた、自殺にしか見えない遺体が連続して発見される。そして、その死体の側にはギリシア文字を使ったメッセージが置かれていた。
 この事件と並行して、西之園萌絵は父母が亡くなった飛行機事故に秘められた事実を知らされる。

 ガケが崩れるまで待って落ちて死ぬ人もいれば、崩れる前に飛び降りて死ぬ人もいる。どちらも一度生きて一度死ぬことに変わりはない。作品中のキャラクターの一人がそんなことを言う。そして、この作品では多くの自殺者と不慮の死、天命を全うした死が描かれる。
 確かにどれも同じ死ではあるのだが、おそらく読者が感じる印象はそれぞれ異なるだろう。

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森博嗣作品の書評