コンビニ店員候補生物語

 東京でコンビニの雇われ店長になる予定だった牧水良平は、大手コンビニの本部と対立したオーナーが過労で倒れたことで、その将来を失ってしまう。
 失意のままの帰郷。やる気をなくしてぶらぶらする彼の目に映ったのは、経営不振にあえぐ実家の商店と、近隣に進出してくることになった、良平の将来を奪った大手コンビニ。再び闘争心に火をつけられた良平は、実家をコンビニに改装することを決心する。

 渋る母親を説得し、加盟するコンビニチェーンも決めた良平だが、若者がほとんどいない地元のため、バイト面接は難航する。ようやく決まったのは、本部からの斡旋で来た1人の経験者と、4人の高校生たち。彼らのコンビニ開店の奮闘が始まる。

 大学生によるコンビニ立ち上げ物語なんだけれど、主にはバイト候補生たちの人間物語という雰囲気になっている。問題がある子を立ち直らせていったり、頑なな子を解きほぐしていったり、ようやくまとまってきたかなと思ったところで起きるカタルシス

 大手コンビニ本部に対する不満や、それを平然と受け入れる周囲に対するやるせなさみたいなものが当初にはあったはずなのだが、その感情はいつの間にか薄れていき、開店のための作業に忙殺されていく。それはとても現実的な反応だとは思いつつも、物語の構成としては尻すぼみ的な印象も受けた。この解決の代わりとなる出来事が盛り込まれるのだけれど、ある程度そのことは予想しつつも、流れから言うと唐突な印象を受けた。
 もし続編があるのならば、今回積み残した部分に言及するような展開があっても良いと思う。

 前作についても思ったけれど、クライマックス近辺まで一定の傾斜が続いて、突然最後でまとめに入るようなストーリー展開スタイルの気がする。

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峰月皓作品の書評