どこにでもある気持ちと、どこにもいないキャラクター

 初めての一人暮らしで不安を感じる多田万里が初めて友達になったのは、柳澤光央という男。彼は有名エスカレータ式学校の生徒だったのだけれど、わざわざ外部受験して万里と同じ大学に入学した。その理由は大量の薔薇の花束と共に現れる。
 そこにいたのは、ブランド物に身を包み、外見は完璧な女性、加賀香子。彼女は小学生の頃から光央を生涯の伴侶と見定め、自らが作った人生プランを達成するため、光央を追いかけて来たのだ。光央からどれだけ拒絶の言葉をかけられても付きまとい、テンパってさらに自分の立場を悪くしていく繰り返し。そんなイタい感じの彼女だけれど、一人ぼっちでいる姿に万里はほだされる。
 そんな万里も、普通に暮らしている人とは大きく違う悩みを抱えていて…という感じのラブコメ。そこにちょっとした不思議要素が付け加えられている。

 主人公の二人はどちらもマイナス背景を持っていて、負のスパイラルに入りやすい状況だと思うのだけれど、各所にギャグ要素が無理矢理挿入されることで高めのテンションが終始維持されている雰囲気がある。
 ベースにある人間関係は、よくある様な成就しない気持ち。そこに付け加えられた不思議要素が今後重要な役割を果たすのか、あるいは人間関係の網を複雑にしていくのか。それは今後の展開の楽しみかなと思う。

 ところで、なぜエイジではなく、タイムなのだろう?この言葉に深い意味があるのかも興味がある。

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竹宮ゆゆこ作品の書評