積み重ねてきた末の崩壊

 警察のプロファイリング研修所で起きた殺人事件の真相を描く「殺人講義」、アニメの制作現場で起きたトラブルの真相を描く「アニマ」を収録している。どちらの作品にも、過去からの積み重ねとその崩壊というテーマがある印象を受けた。

 殺人講義で語られるプロファイリングの本質とは確率論。この様な経歴を持つ人物はこういうことをやり易い、こういう場所ではこういう事件が起きやすいというデータの積み重ねを利用して、直観によらない参考情報を提供してくれる。そして、この事件が起きた背景にも、過去にこういう事件があったからそれで変わった、という部分が大きく影響を与えている気がする。
 アニマは、アニメの制作現場の厳しさを紹介しつつ、それでもめげずに突き進み続けるものと、力尽きてしまうものの姿が描かれる。ラストシーンは、たとえアニメ以外の他の分野ででも、同じ様な経験をした人間には、身につまされる部分があるのではないだろうか。

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加藤元浩作品の書評