自分が許すギリギリの範囲で

 動くミノタウロス像の謎を解く「アリアドネの糸」、クラスメイトと出かけた釣り先で遭遇する事件を描く「魚釣り」、榊森羅の養父の一人スタン博士が登場する「スタン」、大富豪が過去に友人から贈られたキルトに込められた謎を解く「キルト」を収録している。

 風刺的なもの、社会問題的なもの、森羅の過去に関わるもの、森羅の成長に関わるものという感じで、それぞれ面白さがあるのだけれど、個人的には最後の一本が好き。自分の信念を曲げることはできないけれど、可能な範囲で人に優しくありたい。そんなギリギリの葛藤が見えて面白かったと思う。

   bk1

   
   amazon

   

加藤元浩作品の書評