時事ネタも満載だけど、揺るがない価値観もある

 世界を巡り、たどり着いた国に3日間だけ滞在してまた旅に出る。そんなキノの旅も14巻目。今回も、独特の価値観を持つ国が多く登場する。
 当たり前のことではあるが、自分たちが共有する価値観が、全く交流がない人々と共通のものである可能性はあまりない。しかし、自分たちの中だけで生活していると、その事実に気づく機会がほとんどないこともまた事実だろう。
 キノは自分自身の揺るがない価値観を持ちながら、そんな多くの国々を旅して歩く。各国に住む人に親切にされることもあれば、排斥されることもある。また、糾弾されることもある。しかしその価値観自体を否定することはなく、ただ自分の道を貫いていくのだ。

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時雨沢恵一作品の書評