少し暗めのボケ倒しコメディ

 巫遍は高校に通う座敷童だ。200年間とある村に封じられ、そこから出された彼は、幸せにするため不幸な人間を探し、かんなぎ家へと連れて行く。
 この家に暮らすのは、長女・百目鬼800歳、次女・犬神のハナ72歳、三女・人間の珠樹11歳、そして長男の遍だ。高校で孤独系不幸そうな帯脇帯をみつけたあまねは、半ば無理矢理に、しかしある部分では自発性を尊重して、かんなぎ家に招き入れる。初めは他人と関わるのに恐怖する帯だったが、あまねやハナたちと関わることで他人を受け入れるようになる。だが、こんな作られた環境で幸福になることが彼女の真の幸福と言って良いわけもなく…。

 基本的には座敷童のあまねが徹底的にボケて、それに帯ががっちり突っ込むというコメディ。ボケ方がかなりしつこいので物語の進度が遅く、一度違和感を感じるとイラツキすら感じることもあるかも知れない。
 家族のほとんどが妖怪という設定も今回は十分に生かされているとはいえないし、終盤の帯のクラスメイト高橋唯に対する扱い方などから、作者は暗め重めの展開の方が性に合っている印象を受けるので、コメディよりも妖怪設定を押した方が深い仕上がりになった気がする。
 でも、面白くなりそうな要素はあると思うので、何とか2巻で盛り返して欲しい。

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冬木冬樹作品の書評