初めての提案活動

 出禁になった社長の六本松の代わりに、スルガシステムの新人社員桜坂工兵は、業平産業という一部上場の大企業のDRサイト構築の提案依頼を受けることになった。右も左も分からない提案活動、頼みの綱の室見立華も技術寄りで営業は素人同然。そして本来なら弱小ベンダーが受注できる規模の案件ではないのだが、コンペに現れた大手ベンダーのあまりの見下した態度に、本気で提案をしかけることにする。
 実は提案活動もしたことがある姪乃浜梢の手を借りて、一通り提案書は出来上がるのだが、やはりそこは規模の小さな会社であり、大手に比べて価格競争力に欠ける部分もある。一度はあきらめかける工兵だが、父の言葉にヒントを見出し、ユーザー企業へ特攻を仕掛ける。その結果得られるヒントとは、そしてコンペの結果は?

 技術者が主役なので、大手SIerの技術の無さと見下しっぷりが強烈に描かれている。圧倒的に不利な状況から、何とか勝つためのヒントを手に入れ、そして自分たちの自尊心も満足させる回答を見出して戦いに挑むのが醍醐味となっている。そういうスッキり爽快感がある、現代の戦士の物語だ。

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