池袋のばけもの作家は今日も遊ぶ(締め切りって何?)

 杉井光さんが、今度は自分と周辺のライトノベル作家をネタにした作品を出版しました。実際にあった出来事を元にしつつも、実はライトノベル作家の多くは人間ではなく化け物だった、という設定にすることで、メタ・(ノン)フィクションに仕上げてしまった。

 一話完結形式となっており、第一話・葉隠イヅナ、第二話・神無月つばさ、第三話・風姫屍鬼、第四話・杉井光、というように、各章でメインに取り上げられる作家がいる。しかし、各章の根底にあるのは、語り手である杉井光と、隣室のラノベ作家、葉隠イヅナとの慣れ合い生活の記録だ。不規則で自堕落な生活を送るラノベ作家と、彼女の世話をする隣室の常識人。登場人物のほとんどが美人・美少女であることは、杉井作品のお約束だろう。

 初めはただのフィクションだと思わせておいて、最後にメタ・(ノン)フィクションであることを明かすという構成の妙もある。モデルとなった作家の実際と照らし合わせて読むのも良いだろう。しかし、そんなことを知らなくても、不思議なばけもの作家達の奇妙な言行録として、単純に楽しめる作品だと思う。

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杉井光作品の書評