カードゲームみたいな陣取り合戦

 地元高校の合併問題を、現役高校生同士の集団対戦の結果で決めるという設定のお話。前巻では男子校とのちゃんばら対決でしたが、今回は対戦相手が女子高ということもあり、体力勝負ではなく頭脳戦が中心。モデルは「水雷艦長」というゲーム。戦艦、駆逐、水雷という、じゃんけんのグー、チョキ、パーの様な三属性に選手を分け、フィールドで出会った敵にカードをかざすと非接触で判定し、陣地を確保するか大将を撃沈するかした側が勝利するという試合形式。各属性の比率は自由に設定でき、一部属性は復活可能などのレギュレーションがあるため、試合前に相手の作戦を読み切ってこちらの戦術を組み立てられるかが勝負のカギ。このため、紙幅の大半は情報戦の描写に割り当てられています。
 復活ありというのは結構良いですね。よく、ゲームにある復活という概念が命を軽んじるので良くない、という批判がありますが、この概念はかなりエンターテインメント性を高めています。

 前巻の引きから考えて、もっと過激なハニートラップが繰り出されるかも、と危惧していたのですが、そんなことはなし。いつも通り、ほのぼの健全なやり取りが交わされています。ちょっといつもと違うのは、女子陣営がかなり積極的に行動しているところかな?
 次巻は樫森vs桜川の対決になるはずなので、楢山がどのように介入するかがポイントかも。

 冒頭にちょっとした障害が何個か置いてあります。これは軽やかに飛び越すか、無視して突っ切るのが正解。下手に引っかかると、転んでしまいますのでご注意を。

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鷹見一幸作品の書評