哀しいけれど幸せなひと時

 盟主アロマの復活がもたらす破滅の時。魔族に対する反抗組織を持つ国は侵攻を受け、支配体系は丸ごと乗っ取られてしまう。巷にあふれる使途と、生じる混乱。
 その頃、レディ・キィとして運命を定められてしまったレイニーは、戦う意志を失い、過去の記憶に浸る。家族との楽しい日々と、そして戦いの始まりの時の記憶に。一方、教皇庁によるレイニーの扱いに納得できない薫は、一人組織に反抗し、隔離されたレイニーの下へ向かおうとする。
 盟主とは一体何なのか。そして偉大なる君主とは何者なのか。それらの謎が明らかになってくる。

 トゥロワヌやアルフェルムを子供扱いする力を持つアロマに対抗するには、論理的にこれしかありえない、というような展開になってしまった。ご都合主義のハッピーエンドを排除するストーリー構成。しかしそんな中でも、薫にとっても、レイニーにとっても、与えられた情況の中で望みうる最高の関係が得られたのかもしれない。

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貴子潤一郎作品の書評