復讐は誰のために

 日本鯨軍の旅順総攻撃。全滅覚悟の突撃なのだけれど、戦争の描写がメインになることはない。なぜなら、クニの仇打ちとその後の方が雪平にとっては、多分、大事だから。与えられた任務をきっちりこなした後は、鳥雷一本だけを武器として、仇の襲撃鯱に決戦を挑む。シリーズ完結編。
 雪平のガチガチした考え方にとっては、久しぶりに再開した鴨田社長の気楽な人生論が、雪平の心の余裕をもたらしてくれた様にみえる。

 ところで、読み始めて何か違和感を感じていたのだが、その理由はあとがきを読んで分かった。確かに以前と比べて文章の密度が違う。今回は空想科学理論もほとんどないし。
 密度が下がった分、どうしても書かなきゃいけないことが選別されて、筋立てがすっきりした様な気はする。執筆デバイスの制限による雰囲気の違いって、やっぱりあるんだ。

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大西科学作品の書評