エレメンツ・ネットワークの具現化

 源田刑事がなぜ土方護を人殺しと呼ぶのか、護の過去の一端が明らかにされる。そして、これまでは監視者による多数決という形のない存在だったエレメンツ・ネットワークは、その創設者が明かされることで、実体をともなった意思に、ある意味単純化された。
 このことは、護がエレメンツ・ネットワークの束縛から抜け出そうとしている事と無関係ではないと思う。護がネットワークの思想を体現しているうちは必要なかったのだが、そこにずれが生じた事で、本来のネットワークの思想を体現している人物が必要になったのだ。

 また、これまでもほのめかされていたのだが、後半には「闇のイージス」とのリンクが明示される。これが物語にどのような彩りを与えるのかは、実際に読んで確かめて欲しい。

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たかしげ宙作品の書評