大きくなればいつか分かるよ

 十五年前のある日、神様は突然世界を捨てた。子供は産まれず、人は死ななくなった。人が死なないことにより生まれる混乱を収束するため、神様が使わしたのは墓守という、人の女性に似せたものたち。彼女たちの手にかかれば、人はようやく永遠の眠りにつくことができる。
 そんな世界のとある小さな村。自称墓守の少女は、毎日せっせと墓穴を掘っていた。一日の仕事が終わり、帰ればあたたかな村人たち待っている。永遠に繰り返されるはずの日常は、人食い玩具を名乗るぶち壊される。そこから始まる自分探しの物語。

 世界観が面白い事はひとまず置くとして、個人的にキャラクターが上滑りしている様な印象を受けた。人は外見に左右されるけれど、精神年齢はその人が得た経験に依存すると思う。だから、あの話し方に違和感を感じて仕方がない。
 物語中で明示はされないが、人食い玩具は一人余分に殺しているはず。主人公たるアイに自覚がないこともあり、ここはさらりと流されるのだが、同じ構造の関係があとでもう一度登場する事から考えると、結構重視されている部分の気もする。ここではいったい何を言いたかったんだろう。

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入江君人作品の書評