神様に振り回される人間の事情

 「神権」の提唱者である嵐ノ宮家のお嬢様、真曜とその執事続木が起こした神様の誘拐事件。嵐ノ宮家が神権に反したとあっては反神権団体の格好の的になってしまう。こっそりと事件の解決を命じられた人永は、真曜お嬢様の家庭教師として嵐ノ宮家に潜入する。ところが、高慢で我がままと思っていたお嬢様にも事情があって…。

 神様は圧倒的な力で自分の思うままに行動するから良いけれど、それに振り回される人間は力の差を強く感じざるを得ない。それに対して人間が身を守る方法は少ない。諦めて受け入れるか、笑ってごまかすか、開き直るか。まれには、無理を承知で力で対抗しようと思うものもいるかもしれない。
 前2巻は神様側の事情に品部人永が振り回されるという展開だったけれど、今回は少し視点を変えて、神様に関わったことがある人間側から見たお話になっている。

 短編の「天啓」も掲載。

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山口幸三郎作品の書評