自分で追い詰めていく感覚

 今回もまた一人こゆいキャラクターが加わった。
 それはともかく、島田八段のタイトル戦。地元の期待を背負って子どもの頃から研鑽を積み、将棋以外の色んなものを取りこぼしながら、ようやく手に入れた挑戦者の権利。様々な想いをこめて渾身の一手を指すのだが、名人の壁は厚く、どんどん追い詰められていく。
 そして、そんな島田八段をサポートする零だが、彼の周囲も波風が立たないわけではない。その中でもおそらくは最大の波である義姉香子の来訪。怜悧な様でいて、あのねっとり絡みつくような彼女の気配はなんだろう。あの束縛からはそう簡単に抜けられそうもない。

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羽海野チカ作品の書評