変化を強制する劇薬と拒絶反応

 魔法士誕生の秘密と彼らの遺伝子にかけられた枷の存在を暴露することでシティの仮初めの平和を乱し、武力介入と亡命者の受け入れでシティに匹敵する影響力を手中にしたサクラと天樹真昼が率いる賢人会議は、北極事件から半年でシティ・シンガポールとの同盟成立にまでこぎつけようとしていた。
 しかしその一方で、賢人会議は世界に、魔法士と普通の人の間に対立をもたらしつつあった。残り30年というマザーシステムの絶対的タイムリミットが示唆する暗黒の未来像は多くの人々の思考を停止させ、そこから漏れでる漠然とした不安感が争いの種を育てる。
 そんな世界情勢の中で、壮大な理想を胸に時代を疾走する真昼と、世界各地に散らばる実力者達が集結したシンガポールで起きる事件とは?

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三枝零一作品の書評